会長からのご挨拶
2019年度インド日本人商工会会長を拝命致しましたインド三菱商事の田口でございます。2019年度も1カ月が経過し、新元号『令和』の時代となりましたが、皆様も気持ち新たに、新たな時代の到来を期待と慶びと共に迎えておられる事と存じます。
私は今回、7年ぶりのインド駐在で二回目の赴任となります。前回2007年~2012年の赴任時には、日本や世界の常識を持ち込んでも、すんなりと前に進まぬインドの事業の難しさに四苦八苦しながらも、多くを学び又、育てて頂きました。思い入れの深いインドに再度挑戦できる喜びを胸に赴任して居り、この大役を拝命し身の引き締まる思いですが、確りと前進しているインド市場、前にも増して深まっている日印の信頼関係、そしてその広がりを少しでも進展させられる様、大使館始め日本国政府関係の皆様、日本商工会の皆様と力を合わせて確り取り組んで参り度と思いますので、何卒宜しくお願い致します。
<インド市場の変化への期待>
インドは、昨年も7%台の成長を記録し、2028年頃にはGDPが日本を超え、世界第三位の経済大国になると言われています。インドの新車販売台数は400万台を超えドイツを抜き、今や世界第4位。粗鋼生産量も1億トンを超え日本の粗鋼生産量を抜きました。
前回離任した2012年当時3時間30分掛かっていた工業団地への道のりが、道路状況の改善により1時間30分に短縮されておりました。一部統計等を見ますと、一日25km高速道路建設・舗装がされていると言われますが、正にその進展を実感する事例で有ります。
自動車産業に例を見ますと、これまでにも増して成長する自動車製造・販売と共に、IT、デジタルの分野での世界の潮流を取込みUberやOla等、Sharing Economyも浸透し、両ビジネスモデルが並行して進展しており、インド経済の懐の深さ・面白さを感じます。又、これらの変化は、インド社会経済の多様な層に於いて、着実に進展している様に思われます。
<インドの経済の難しさの改善>
前進するインド経済にあって、インドの事業環境は、ビジネス環境ランキングでも2012年132位から2018年には77位と躍進しています。一方で、税制、法律、法規制、インフラなど、引き続き問題を抱えており、私ども日系企業が越えなければならないハードルが多くある事も事実です。進出した日本企業の皆様に於かれましても、日々の事業でインドの難しさを体感され、まだまだ改善して行って欲しいことが山積みだと思っています。日本商工会の活動に於いても、大使館のご支援を頂きながら、インド政府に対し建議書活動をはじめとする提案や協議を続けて参りますので、皆様の積極的なご参加をお願いします。
<日印の交流の活発化に期待>
日印の交流も活発化しており、人の往来では、2012年の訪日インド人は約7万人でしたが、2015年に10万人、2018年は更に15万人に急増しております。今年年末・来年初めにはチェンナイ・バンガロールと東京を結ぶ直行便が就航予定であり、日本とインドが着実に接近している事を感じます。文化交流も、言語や伝統芸能など従来の交流に加え、最近ではボリウッド映画が日本の映画館でも放映されており、映画・芸能の分野等、新たな世代が中心となる文化交流が進展する事で、将来の日印関係にも期待が寄せられます。
日印関係の深化・両国の信頼の深まりに務めつつ、インドに進出された日系企業の皆様の益々ご発展の為、皆様と力を合わせて取り組んで参り度と存じますので、何卒宜しくお願い申し上げます。
2019年5月吉日
インド日本商工会
会長 田口 洋二