会長からのご挨拶
2025年度インド日本商工会会長を拝命致しました、インド三菱商事の吉野でございます。昨年3月の当地着任以降、インドの魅力や成長性を日々感じる中、この度の重責を担うこととなり、大変身が引き締まる思いです。日系企業各社の発展や日印関係強化に向け、大使館の皆様や日本商工会の皆様と力を合わせて取り組んで参りたいと思いますので、一年間どうぞ宜しくお願い致します。
昨年度を振り返りますと、インドでは下院総選挙が行われました。モディ首相率いる与党BJPが連立で3期目の政権運営を担うこととなりましたが、当初は連立政権運営に対する不安の声もございました。しかし、その後の州選挙では多くで勝利し、現在は連立で上院・下院共に過半数を確保するに至っております。政治の安定はビジネス環境にとって不可欠な要素であり、日本企業の更なる投資拡大に向け、好環境が継続していると言えるかと存じます。
日印関係につきましては政治・経済始め、様々な面で引き続き良好な関係が維持されております。2024年度は2023年度に続き「日印観光交流年」として観光を通じた交流が促進された結果、昨年日本を訪れたインド人の方は23万3,000人(23年:16万6,000人)と過去最高を記録しました。日本へ関心を示すインドの方々が増え、人的交流も一層深まることで、両国の更なる関係深化が期待されます。
JBIC様が毎年実施している調査、「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」によれば、インドが3年連続で中長期的な有望投資先として第1位に選ばれ、毎年得票率も上昇しています。インドの市場規模や今後の市場成長性を魅力と捉えている企業が多く、実際、日本からの直接投資額も増加しております。一方、インドに感じる課題としては「法制度運用の不透明さ」や「複雑な税制度」、「未整備なインフラ」といったものが挙げられており、これらの課題は短期間で解決することが難しく、インド政府との対話を繰り返しながら、中長期的な視点で取り組んでいく必要が有ります。
こうした状況を踏まえ、商工会と致しましては、日系企業の皆様が直面するビジネス環境の改善に取り組むことはもとより、会員相互の情報交換・親睦の促進、日印間の経済活動の発展と信頼関係の強化、そして、会員共通の利益となる諸活動の実施にも力を入れながら、より幅広い観点から活動していく所存です。そのために、引き続き「活動の5本柱」(1. 三木会、2. 部会・委員会・エリア社長会、3. ビジネス環境改善活動、4. コミュニケーションの充実と強化、5. 組織の拡大)の強化に取り組んで参ります。また、本年度よりインド未進出企業にも商工会へ加入頂けるようになったことを踏まえ、「中堅・中小企業のインド進出支援」、並びにそれを後押しする「ビジネス環境改善に向けた提案活動」の2点に特に注力して参ります。これらの取り組みは、日本大使館をはじめとする関係政府機関の皆様のご協力も得ながら、着実に推進していければと存じます。
2025年度は、諸外国での紛争継続や第二次トランプ政権による関税引き上げ等、これ迄以上に世界的に不確実性が高い一年になるかと思います。こうした環境下では、企業も難しい舵取りを迫られるでしょうが、そのような中においても、インドが持つ潜在力と成長可能性は揺るぎないものと確信しております。商工会の活動を通じて、進出日系企業数の増加、及び進出済み日系企業の更なる発展に寄与し、それがインド社会への貢献、延いては日印関係の一層の発展へと結びつくよう、微力ながら取り組んで参ります。今後とも、皆様より温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年4月吉日
インド日本商工会
会長 吉野 節也